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千葉地方裁判所 平成4年(わ)1418号 判決

本籍

千葉県八街市沖一二五四番地

住居

千葉市若葉区加曽利町九六四番地の三〇

会社役員

今井芳衞

昭和一七年四月四日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官田中順太郎出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金二〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することが出来ないときは金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、山砂の収集運搬等を業としていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和六三年分の実際総所得額が二五八五万六〇〇〇円であったにもかかわらず、平成元年三月九日、千葉県成田市加良部一丁目一五番地所在の所轄成田税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が二五二万八〇〇〇円でこれに対する所得税額が一〇万二〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額八二四万九三〇〇円と右申告税額との差額八一四万七三〇〇円を免れ

第二  平成元年分の実際総所得額が九二八八万九六〇九円であったにもかかわらず、平成二年三月一五日、右成田税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が二五三万四八〇〇円でこれに対する所得税額が一九万九三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額四一七二万六〇〇〇円と右申告税額との差額四一五二万六七〇〇円を免れ

第三  平成二年分の実際総所得額が一億一三八万一二三〇円であったにもかかわらず、平成三年二月二八日、右成田税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が五八四万八五九二円でこれに対する所得税額が四〇万四二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額四五九七万三〇〇〇円と右申告税額との差額四五五六万八八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示の全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人作成の証明書

一  大蔵事務官作成の告発書

一  検察官、検察事務官各作成の各電話聴取書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  大蔵事務官作成の査察官報告書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(第一葉欄外に証第5号と記載されているもの。以下、証拠番号につき同様。)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(証第8号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(証第6号)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(証第9号)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(証第7号)

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書(証第10号)

(法令の適用)

被告人の各所為は、それぞれ所得税法二三八条一項に該当するところ、犯情により懲役及び罰金の併科刑を選択し、罰金額につき同法二三八条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の懲役刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罰金額を合算し、以上の刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金二〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することが出来ないときは同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から四年間懲役刑につきその執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 神作良二)

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